浄化槽・貯水槽・排水槽の違い

浄化槽、貯水槽、排水槽はそれぞれ異なる目的と機能を持っています。
- 浄化槽(じょうかそう): Septic Tank
- 目的: 主に家庭や施設から排出される汚水を処理して、環境への影響を抑えるための設備です。汚水中の有害物質や細菌などを取り除く役割を果たします。
- 機能: 浄化槽は、生物学的な処理や化学的な処理を通じて、排水を浄化し、清浄な水にすることが求められます。浄化した水は、河川などに放流されるか、再利用されることがあります。
- 貯水槽(ちょすいそう): Water Tank
- 目的: 水を蓄えるための槽です。雨水貯水槽や水道用貯水槽があり、一時的に水を貯めるために使われます。
- 機能: 水道水が安定的に供給されない地域や、災害時などに備えて水を貯めておくために使用されます。災害時には飲料水として使用したり、生活用水として使用することができます。
- 排水槽(はいすいそう): Sewage Tank
- 目的: 排水を一時的にためるための設備です。主に工場や建物などから出る汚水を一時的にため、適切に処理するために使用されます。
- 機能: 排水槽は、排水を処理施設に送る前に一時的に保管することができ、汚水の流れをコントロールする役割を担います。浄化処理が必要な場合、その後に浄化処理が行われます。
まとめ:
- 浄化槽は汚水を浄化するための設備。
- 貯水槽は水を貯めるための設備。
- 排水槽は排水を一時的にためて処理するための設備。
マンションに必ずしも全ての設備が備わっているわけではありません。以下に、浄化槽、貯水槽、排水槽の設備について、マンションにおける一般的な状況を説明します。
- 浄化槽:
- 必ずしもあるわけではない: 都市部のマンションでは、下水道が整備されていることが一般的なので、個別に浄化槽が設置されていないことが多いです。下水道に接続されている場合、汚水はそのまま下水道に流れ、浄化処理は下水処理場で行われます。しかし、下水道が未整備な地域や一部の郊外のマンションでは、浄化槽が設置されていることがあります。
- 貯水槽:
- あることが多い: マンションには、安定した水供給のために貯水槽が設置されていることが一般的です。貯水槽は水道の供給が途絶えた場合の備えや、上下水道の圧力が不足する場合に役立ちます。特に高層マンションでは、水圧を安定させるために貯水槽が必要となります。
- 排水槽:
- ある場合もある: 排水槽は、排水の一時的な保管場所として設置されることがありますが、一般的にはマンションの排水は下水道に直接流れ込むため、必ずしも設置されているわけではありません。ただし、大規模なマンションや一部の特殊な設計のマンションでは、排水槽を設けることがあります。
結論
- 浄化槽は都市部では不要で、必ずしも設置されているわけではありません。
- 貯水槽はほとんどのマンションに設置されています。
- 排水槽は必要に応じて設置されますが、全てのマンションにあるわけではありません。
浄化槽管理の市場規模に関する具体的なデータは公開されていませんが、関連する情報から推測することは可能です。
浄化槽の普及状況
令和5年度末時点で、全国の汚水処理人口普及率は93.3%であり、そのうち浄化槽による処理人口は1,177万人(総人口の9.5%)となっています 。(mlit.go.jp)
浄化槽は、特に下水道が未整備の地域や郊外の住宅地で利用されており、これらの地域では浄化槽の設置・維持管理が重要な課題となっています。
浄化槽管理に関連する市場
浄化槽の維持管理には、定期的な点検、清掃、修理、法定検査などが含まれます。これらのサービスを提供する業者は、浄化槽の設置業者や専業の維持管理業者などがあり、地域ごとに事業が展開されています。また、浄化槽の維持管理に関連する技術や製品(例:ブロワー、ポンプ、センサーなど)の市場も存在し、これらは浄化槽の効率的な運用に寄与しています。
令和5年度末時点で、日本全国に設置されている浄化槽の総数は約745万基です。このうち、合併処理浄化槽が約409万基、単独処理浄化槽が約335万基となっています。特に、合併処理浄化槽のうち、窒素や燐などの除去機能を備えた高度処理型浄化槽は約147万基で、合併処理浄化槽全体の約36%を占めています。 また、令和5年度に新たに設置された合併処理浄化槽は約90,455基で、そのうち高度処理型浄化槽は約74,779基でした。 (env.go.jp)
設備 | 目的 | 設置台数(全国規模) | 主な使用場所 |
---|---|---|---|
浄化槽 | 汚水や生活排水を処理して放流する | 約745万基(合併処理浄化槽:約409万基、単独処理浄化槽:約335万基) | 下水道未整備の地域、郊外の住宅地など |
貯水槽 | 水道水や雨水を一時的に貯めて供給する | 全国規模の詳細データなしだが、高層ビル、構想マンション、商業施設数と同数(約100万箇所)あると推定できる | 高層ビル、マンション、商業施設など |
排水槽 | 排水を一時的にためて処理する | 詳細な全国データなしだが工場、商業産業施設と同数あると推定できる | 工場、大規模施設、産業施設など |
🧰 浄化槽関連の資格
1. 浄化槽設備士
- 役割:浄化槽の設置、工事、調整、点検などを行う専門技術者。
- 資格取得者数:全国で約4万人以上の資格保持者がいるとされています。
2. 浄化槽管理士
- 役割:浄化槽の維持管理、運転、保守点検、法定検査などを行う専門家。
- 資格取得者数:全国で約3万人以上の資格保持者がいるとされています。
💧 貯水槽関連の資格
1. 給水装置工事主任技術者
- 役割:給水装置の設置や工事に関する監督・指導を行う技術者。
- 資格取得者数:全国で約20万人以上の資格保持者がいるとされています。
2. 給水装置工事配管技能士
- 役割:給水装置の配管工事を行う技能者。
- 資格取得者数:全国で約10万人以上の資格保持者がいるとされています。(mlit.go.jp)
🚿 排水槽関連の資格
1. 下水道管理技士
- 役割:下水道の維持管理、運転、保守点検などを行う専門技術者。
- 資格取得者数:全国で約5万人以上の資格保持者がいるとされています。
2. 排水設備工事責任技術者
- 役割:排水設備の設置や工事に関する監督・指導を行う技術者。
- 資格取得者数:全国で約3万人以上の資格保持者がいるとされています。
資格者規模
人員の数では貯水槽(30万人)→排水槽(8万人)→浄化槽(7万人)の順番となります。また、貯水槽に類似する設備として受水槽があります。
貯水槽と受水槽は似たような用途で使われますが、目的や設置場所に違いがあります。
1. 貯水槽(Water Tank)
- 目的: 水を貯めるための設備で、主に水道水や雨水を保存するために使われます。特に、水道の供給が不安定な地域や、災害時に備えるために使用されることが多いです。
- 設置場所: 住宅、商業施設、工場など、広い範囲で使用されます。屋上や地下に設置されることが一般的です。
- 特徴: 貯水槽は、水を一定量保存するために設置され、必要に応じて供給する役割を果たします。水道水の供給が安定している場所でも、需要に応じた一時的な水のストックが必要な場合に設置されます。
2. 受水槽(Water Receiving Tank)
- 目的: 水道会社から供給された水を一時的に貯めておくための槽で、主に水道の水圧が不足している場所に設置されます。水道水の供給を安定させるための装置です。
- 設置場所: 高層ビルやマンション、商業施設など、給水圧力が不十分な場所に設置されます。
- 特徴: 受水槽は、水道から直接供給された水を一時的に貯め、ポンプで水を圧送して各フロアに供給する役割を持っています。高層建物などでは水圧が低くなるため、受水槽とポンプが重要な役割を果たします。
主な違い
項目 | 貯水槽 | 受水槽 |
---|---|---|
目的 | 水を貯めるため | 水道から供給された水を貯めて圧送するため |
設置場所 | 住宅、商業施設、工場など | 高層ビル、マンション、商業施設など |
特徴 | 水を保存し、必要時に供給 | 水圧が不足する場所で、水道水を安定的に供給 |
使用例 | 生活用水、非常用水、雨水貯留 | 高層ビルや大型建物での水供給のため |
結論
- 貯水槽は水を保存することが主な目的であり、貯水用途で使用されます。
- 受水槽は、水道水の供給が不安定な場合に、供給された水を貯め、圧力を調整して安定的に供給するための装置です。
例:貯水槽管理技術者は受水槽、排水槽、浄化槽の点検ができるのか?
浄化槽の点検:
貯水槽管理技術者が浄化槽の点検を行うことは、一般的にはできません。浄化槽の点検は、浄化槽管理士や浄化槽設備士が行います。浄化槽は、汚水処理に関する高度な知識と技術が求められるため、貯水槽管理技術者の範囲外となります。
受水槽の点検:
貯水槽管理技術者が受水槽の点検を行うことは、一般的にはできません。貯水槽管理技術者の資格は、主に貯水槽の管理に関する技術者資格であり、受水槽に関しては別の資格や業務範囲に属します。受水槽の点検は、通常給水装置工事主任技術者、水道施設点検技術者、受水槽管理技術者などが行います。
排水槽の点検:
貯水槽管理技術者が排水槽の点検を行うことは、一般的にはできません。排水槽の点検は、排水設備工事責任技術者や下水道管理技士が担当します。貯水槽管理技術者が排水槽の点検を行う場合も、専門的な資格が必要です。