データによるイノベーションの可能性
技術革新によって、不動産業界の業界構造はIT業界の業界構造の変革と同様に、徐々にユーザーオリエンテッドな改革が進むとTANAAKKは予測しています。
ファシリティマネジメントの可能性
日本国民が保有する不動産の資産規模総額は2600兆円で、国民資産の24%を占めます。そのうち、収益不動産資産規模は2023年で約289.5兆円(ニッセイ基礎研究所)、建設市場は年間約70兆円、収益不動産資産規模の24%程度、不動産年間市場取引は43兆円程度で、賃料収入は、年間20兆円、国内ファシリティマネジメント市場は年間6兆円と予測されています。
データトランザクションのハブはファシリティマネジメント事業者
不動産市場は、購買者と受益者が複雑に絡み合った産業であり、最終消費者であるユーザー(入居者)が利用する不動産は、オーナー(購買者)と、オーナーに対してサービスを提供するディベロッパーや建設業者により調達が構成されています。不動産業界の中で、最も頻繁に決済取引をするのが賃料市場で、賃料の原価となり、入居者、管理会社、オーナーに最も接触回数が多いのは実は、建設業者、ディベロッパー、売買事業者ではなく、ファシリティマネジメント事業者です。ファシリティマネジメント事業者は、不動産エコシステムの中で、最も大きなトランザクションを持つ賃料収入市場のネットワークオーケストレーターになりうるポジションニングとなっています。
安定的なARR創出の可能性
TANAAKKは、ファシリティマネジメント市場が安定的なARR(Annual Recurring Revenue)を産むことができる、生活必需サービス産業であり、最もユーザーのニーズが集まっているのは、ファシリティマネジメント市場ではないかと予測しています。IT業界で従来、製造業者に近かったSAPやシスコよりも、購買者に近いアウトソーサーであるアクセンチュアがソフトウェアの保守運用業務で購買者の信用を獲得し、後追いで成長し、製造業者を超えたのと同じ状況と考えています。
IT業界のメタファー
2024年現在で時価総額世界一位になっているMicrosoftは、世界の産業の中で、アンダーエスティ名とされているエンジニアという職種に自由と独立の権利を与えたことで、産業を確信しました。マイクロソフトでさえも10年前までは下請事業者として認知されていない状態でした。現代的企業はITにより運営されており、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク、セキュリティに関する理解なしに増収増益を実現することが不可能になってきました。このイノベーション経営に関する購買について接触回数が最も多いユーザであるエンジニアに主権を与えることにより、伝統的な銀行、自動車、小売、製薬などの各産業を後参入で占有することが可能となっています。
保守運用者の地位の低さ
クラウドモデルのm365や、Microsoft Azureが出現する前はマイクロソフトのようなエンジニア会社は、企業の事務作業のアウトソーシングをしているくらいにしか認識されていませんでした。
CIO, CSOの地位の低さ
ほんの20年前までは、情報システム部門や情報セキュリティ部門は一風変わった人しか異動しない部署として、出世部門とは認識されていませんでした。しかし、Azure,AWSをはじめとするクラウド事業者は、エンジニアが購買の実質的な意思決定に深く関わっていることを早期に理解し、ベンダー企業とは異なる戦略を取りました。(トップ営業ではなく、ボトム営業)
オープンソースコミュニティ
マイクロソフト、アマゾンをはじめとするクラウド事業者は、早期にエンジニアのオープンソースコミュニティに着目し、金銭的報酬がなくても労働力の投入を惜しまないグループがあることを突き止め、エンジニアたちが労働力投入の対価として金銭的報酬が得られる仕組みを構築しました。