給排水設備の施工計画について
一戸建て住宅の給排水設備に関する施工計画(施工図・施工設計)の費用については、以下のように整理できます。
🔧 1. 「施工計画」とは?
建築士が作成する「意匠図・設計図」に基づき、実際に施工するための詳細な「施工図」や「設備設計図」を設備工事業者または設計事務所が作成するものです。
給排水においては、以下の内容が含まれます:
- 給水ルート・配管径・バルブ位置の決定
- 排水ルート・勾配・配管径の計算
- 床下・壁中での配管ルート検討
- メーカー品(ユニットバス・キッチン等)との接続位置の整合
- 水栓・排水トラップの仕様確定
💰 2. 給排水設備の施工設計費用の相場(日本国内)
内容 | 費用目安(税別) |
---|---|
戸建て(延床30坪〜40坪程度)給排水施工図作成 | 5万円〜15万円程度 |
設備設計士への依頼(詳細設計) | 10万円〜25万円程度 |
建築設計士が一部作成(簡易配管図程度) | 無償または設計費に含まれることも |
設備業者(配管施工会社)による実行計画書 | 工事契約に含まれることが多い |
📌 3. 設計の担当者による分類
一口に「設計」と言っても上流工程から現場工程まで、各ビジネスプロセスにおける「設計」という言葉の意図は異なります。
担当者 | 位置づけ | 備考 |
---|---|---|
一級建築士(設計士) | 基本設計・建築意匠図 | 配管までは詳細に設計しないことも多い |
設備設計事務所(設備設計士) | 詳細な配管計画・圧力計算など | 建築規模が大きいと必須 |
給排水施工会社 | 実施工図・ルート確定 | 設備CADを使って作成、実務に即した形 |
🧱 4. 注文住宅などでは?
- 工務店やハウスメーカーが「標準仕様内」の給排水設計を内部で完結させている場合が多い
- 特注(勾配が難しい土地、2世帯住宅、井戸水・浄化槽等)は追加設計費が発生する
✅ 結論:費用目安と判断基準
- 標準的な木造戸建て:5〜15万円
- 設備設計士が個別に関わる場合:10〜25万円
- 給排水施工業者の実行図のみ:工事費に含まれる(個別請求なし)
建築士の図面がある場合でも、それを読み込んで配管ルートや勾配、機器の位置を再検討する「施工設計」は別途費用がかかることがあります。特に水回りの位置が標準から外れている場合や二階水回りがある場合は注意が必要です。
新築物件における給排水設備図面の作成に関しては、以下のように役割や資格の範囲が分かれています。
✅ 給排水図面作成に関わる資格と役割
建築士(1級・2級)
主な役割: 建物全体の設計図を作成し、法令に基づいた設計内容であることを保証。
給排水に関して:
基本的な配置や設計条件(機器の配置や配管ルートの概要など)を図面に反映。
建築確認申請における「建築設備計画書」も作成。
義務:
建築確認を要する場合は、建築士の設計図が必要。
2. 1級管工事施工管理技士
主な役割: 設備工事の施工管理を行う資格。
給排水に関して:
給排水設備の詳細設計や施工図の作成・チェック。
実際の配管径、ルート、勾配などの専門的な計算と施工計画。
現場での指導・品質管理。
重要な点:
設計専任の資格ではなく、「施工管理」資格であり、設計図の作成は可能だが、法的義務ではない。
実務上は、配管図などの詳細を担うケースが多い。
📝 給排水図面作成の実務フロー
1. 建築士が基本設計図に基づき、給排水の配置を記載
2. 設備設計者や専門業者(設備設計事務所や設備工事会社)が詳細な給排水設計を実施
3. 施工図は管工事業者が作成し、1級管工事施工管理技士が管理する場合が多い
🔍 補足:図面の種類ごとの関与者
図面の種類 関与する資格者 備考
基本設計図(配置図など) 建築士 建築確認に使用
設備設計図(系統図、配管ルート等) 設備設計者(建築士、設備士など) 給水・排水ルートや機器選定
施工図(詳細寸法、ルート、接続等) 管工事業者、1級管工事施工管理技士 現場での実施に使用
✅ 結論
建築士は法的に設計を行う責任があり、基本的な給排水設計はその職責に含まれます。
1級管工事施工管理技士は施工側として詳細な給排水図面を作成・管理する実務能力を持ちますが、図面作成自体が法的義務ではありません。